「断捨離」という言葉がすっかりお馴染になりました。
ネットや雑誌でよく見かけるのですが、「モノを断って、捨てて、離れる」くらいにしか思っておらず、ちゃんと書籍を読んだことがなかったので『新・片づけ術「断捨離」』を読んでみました。
新・片づけ術 断捨離
著者のやましたひでこさんは、自ら体験したヨガの行法哲学である「断行・捨行・離行」からヒントを得て「断捨離」を考案しました。
「断捨離」のポイントは2つあります。
- 主役はモノではなく「自分」であること
- 時間軸は常に「今」であること
「モノが使える」からとっておくのではなく、「自分が使う」から必要だという判断をします。
使えるか使えないかで判断するとモノ中心の考え方になります。すると自分が好きじゃないモノもどんどん溜まってしまいます。
「いつか使うだろう」「まだ壊れていないから」と大事にとっておくことになります。しかしそれが使われることはまずありません。
いま使うかどうか。その軸で判断します。いま不必要であれば捨てること。これが「捨」。
するとだんだんと不要なものは買わなくなります。今の自分に必要がどうかで判断すると仮にタダでもらえるようなものも断るようになります。これが「断」。
そして「断」と「捨」のサイクルを回し続けていくと、だんだんとモノの執着から離れていきます。
いまの自分を軸とすると、だんだんと捨てることに躊躇しなくなりますし、欲しいという欲求もなくなってきます。これが「離」。
モノが増えると、それに関わる時間、エネルギーが必要になってきます。
たとえば本が何百冊もあれば、本を整理することに多くの時間を必要とします。服もあまりにも多いと着るときの判断に困ります。極端な話、2着しかなければどちらかしか着ることはできません。
また、ガジェットが多くなれば充電を気にしなければなりません。
ぼくは一時期、iPod touchとiPod nanoを持っていました。ただ単に欲しいからそれぞれ買って、ランニング用と通勤用に分けて使用していました。
かなりめんどうでした。イヤホンを2つ買ったり、充電もそれぞれ気にしたり、管理にかなりの労力を要していました。
このようにモノが増えれば増えるほど、時間・空間・エネルギーを要します。
ここにあるモノたちが、こんなに手間ひまかけて、時間もお金も労力もかけて収納に値するモノなのか?(P.33)
結局捨てることができない理由に、「もったいない」ことが挙げられます。モノがまだ使えるのに捨てることがもったいないわけです。しかし、本当にもったいないのは、モノにかける時間です。時間をムダにするということは、自分の命をムダにしているということです。それがもったいないわけです。
そこにあったのは「愛着」ではなく「執着」だったのです。(P.35)
結局モノに執着していることが、いかに自分を鈍らせているかを教えてくれます。
この本を読んで300冊以上あった本を10分の1程度に減らしました。服もほとんど捨てました。するとすごく心が軽くなりました。
モノは使ってこそ
モノは、今、この時に、必要とされるところへ
モノは、あるべきところにあって、美しい(P.43)
断捨離とは、モノに奪われた時間、空間、エネルギーを取り戻し、住まいの主役を自分にする手段です。
モノは、所有することで自分の欲を満たしてくれるものではなく、自分を守ってくれる、支えてくれるべき存在です。
持っている安心よりも、持たない潔さを大切にしたいものですね。