医師である著者が仕事・家事・育児をしながらアメリカ留学を目指す。そんなスーパーウーマンの本『「時間がない」から、なんでもできる!』を読みました。
しかし、著者自身はこう語ります。
この本はスーパーウーマンの成功体験談、では決してありません。私が試行錯誤をしながら、多くの人たちの理解と多大な協力をいただきながら、なんとか這いつくばってここまで歩んでいる、デコボコ道そのものです。(P.7)
スーパーウーマンかどうかはさておき、本書を読めばわかりますが、著者は時間だけでなく、仕事環境や家庭状況など制約条件がとても大きい中でアメリカ留学に挑戦しています。
制約があったからこそ集中して取り組んでいます。そして大切なことが「時間の密度」を極限にまで高めること。
時間に対する考え方がとても参考になりましたので紹介します。
「時間がない」から、なんでもできる
目次
第1章 すべては同時並行で、なんでもできる!
第2章 「マイルール」で時間密度を最大にする
第3章 時間を味方につけて、集中する
第4章 加速をつければ、難事も突破できる!
時間がないからこそ、やりたくなる
著者は仕事と育児をこなしながらも、何ひとつうまくいかず鬱々とした日々を過ごしていました。毎日忙しくて余裕がない。
そんなときに思い立ったのがアメリカ留学でした。
仕事も子育ても思うように進まず、飢餓感や焦燥感にかられていたからこそ、かえってそれが燃料となり「なんとしてでも成長しよう、この現状を変えよう」という気持ちになったのです。(P.25)
「やりたい!」というエネルギーがもっとも湧き、そして「うまくいかない」というがんじがらめの状況への鬱々とした思いが着火剤となって、そのエネルギーに火を注いでくれる、絶好の機会です。(P.26)
やりたいと思ったら準備ができていなくてもやってしまう。「できるか、できないか」ではなく「やるか、やらないか」で考え、常に見切り発車をしてしまいます。
最初はうまくいかないこともありますが、試行錯誤をしながら突き進みます。
時間の密度を究極にまで高める
いったん始めてしまえば、時間はできるものだと著者はいいます。
1日24時間は決まっている。さらに家事・育児もある。そんな制約条件が厳しい中で見出せる唯一の光は1分間の価値を高めることでした。
「時間のバリューを最大にする」といいます。
「時間がない、時間がない」と嘆いていたけれど、1分や2分の時間なら、1日のそこかしこに転がっているはず。その密度を高めていけばいいのだ。それを丹念に積み重ねていけばいい。(P.69)
この言葉を読んで思い出したのが、ぼくが高校生だったときの受験時期のことです。
授業と授業のの間の休憩時間は10分間ありましたが、その間に英単語をひたすら書きまくっていました。
先生に言われたわけでも、誰かがやっていたわけでもなく、時間が惜しかったので自然とそうなりました。
それはまさに鬼のごとく。授業よりも集中していたんじゃないかと思うくらい書きまくって、必死に覚えていました。
ただの数分でも無駄にしないということは大切だと思い出しました。
隙間時間を活用する
理想をいえば、まとまった時間があった方が勉強などは一気に進められるのですが、家事、育児をしていればそれもままになりません。
ですから、著者は最初から割り切って、日常のスキマ時間をいかに活用するかに懸けていました。
洗濯物を干す時間でもiPodで英単語を聞く。トイレの時間や移動の時間ですら、論文の構成を考える。
日常のそこかしこに転がっているスキマ時間、細切れ時間を最大限に活用する。
これがまさに時間密度を高め、時間の価値を上げる行動です。
この積み重ねをバカにはできません。
「時間がない」は言い訳にならない!
普通であれば言い訳にしがちな「時間がない」という言葉。
それを著者は逆手に取って、「時間がない」からこそ、やりたいことはすべてやる、より集中できると述べています。そして、追い込まれることで大きな力を発揮しています。
多くの人は「時間がない」という理由で諦めてしまいがちですが、そうではなく自分にできる範囲のことをすぐにやることが大切です。
「時間がない」という言い訳は本当はやりたくないだけなんですね。本気で望むことであれば著者のようにそんなことは考えず、あらゆる手段を使って達成しようとするはずです。
本書は評価は分かれる本で、著者は家事や育児の多くをシルバー人材センターなどにお願いしてアウトソーシングしています。それをAmazonのレビューなどでは「金があるからできた」などと評価されています。
時間をお金で買っているのは事実かもしれませんが、その実際にやったことよりも、著者の考え方を知ってほしい。
あくまでも理想ありき。手段はその後。できたかどうかは結果論。そこに至るまでのマインドを学ぶべきです。
「時間がない」という言葉に甘えず、現状に甘んじず、自分の理想に向かって情熱を注ぐ。これほど大切なことはありません。
「時間がない」という言葉に甘えている自分を戒める意味でも本書を読む価値はありますね。