ここ数年「社畜」という言葉をよく耳にするようになりました。
労働環境が悪い中で必死に働き、プライベートを犠牲にしている。しかし、給料をもらうために辞めるに辞められず、必死に会社にしがみついている。
まさに会社に飼われているような人たちのことです。
自由に働くフリーランスの人が揶揄するだけでなく、会社員が自虐的に言う場合もあります。
しかし、ただ会社に勤めていることだけをもって、社畜と言うわけではありません。
会社に勤めていればずっと安泰だと安心して、自らを向上させることもなく、日々の業務をこなしているだけの人を社畜と言います。
身も心だけでなく、人生そのものを会社に依存してしまっている人、それが社畜です。
たとえ会社勤めであっても、自らの牙を研ぐ人は社畜ではありません。そして、そんな人こそが安定と安心を手に入れることができます。
そのためには、社長を目指して働くべきなのです。
今日の厳しい資本主義社会を生き抜くための働き方を教えてくれる本を紹介します。
社長を目指せ!『「社長」を狙うか、「社畜」で終わるか。』吉越浩一郎著
本能が弱っていないか
最近では、出世欲のない若者が多いそうです。責任が重くなる管理職になりたくない。一生ヒラ社員のままでいい。
そんな人が増えています。
果たしてそれでいいのでしょうか。
人間は元来、激しい生存競争で生き抜いてきました。しかし、いまの日本は恵まれているためか、何もせずともある程度の生活は保障されています。
だから、ハングリー精神を無くし、ガツガツすることがむしろカッコ悪いという風潮があります。
その結果、草食系と言われる言葉ができ、足下の草だけを食べることができれば満足している人が多くなってしまったのです。
動物を見てもわかるように、生存競争の中で勝っていくことが動物の本能なのです。
人間社会でも出世を狙っていくべき、つまり社長を目指していかなければ生き残れないのです。
社長に必要な能力
厳しさ
社長になるためには、さまざまな課題を自分に課す必要があります。しかも、それをいつまでに仕上げるというデッドラインを決める必要があるのです。
この「自分に対する厳しさ」を持つことが重要です。
徹底する力
必要なことはすべてやり、途中で放り出さない。何度でも試行錯誤を繰り返す。そんな徹底する能力が必要です。
当たり前のことを当たり前にやる。それを続ければ結果は出てくるでしょう。
社長までの道のり
20代はフォロワーシップを磨く期間です。さまざまな知識を吸収し、上司を支えていくことです。
30代はマネジメントを覚えます。部下ができ、それなりの立場を任されます。課題や目標に向かって周りを上手く動かしながら達成することです。
40代はリーダーシップを発揮します。自分で試行錯誤しながら人を引っ張っていくことです。
早朝会議とデッドライン仕事術
始業1時間前に問題点を明らかにします。その問題に対して、「誰が」「いつまでに」「何をやるか」を決めます。
そのデッドラインまでに結果を出して、会議の場で発表します。
こうやって正しい情報共有をするのです。
上司への不満はためておく
部下は上司を支える存在です。そのためには上司の指示などに忠実に従っていく必要があります。
しかし、指示がころころ変わってしまうことや、納得できないこともあるでしょう。
すると不平不満がたまることになります。
自分が上司になったときには、同じように部下に接してしまうかもしれません。それが企業の体質となってしまっているからです。
ですから、自分が抱いた不満を持つ上司を反面教師にし、自分はそうならないようにする必要があります。
仕事術の本は読むな
自分を磨くためには読書は欠かせません。さまざまな本を読んで、視野を広げる必要があります。
しかし、簡単に結果が出るからと「仕事術」の本ばかりに手を出してはいけません。現場で懸命に頑張れば、自然と身につくからです。
選ぶべきビジネス書は、任期中に一度も売り上げを下げなかった経営者の本です。そうやって実績のある人の本を読むことで、より実践的な経営を学ぶことができます。
社長を目指すことで身につくこと
1.リーダーシップ
最も大切でしょう。
リーダーとなって組織を動かした方が面白いのです。部下のときからリーダーのつもりで判断していくことが必要ですし、結果を出すためにはどうしたらいいか考える必要が出てきます。
2.マネジメント
調整・管理だけではありません。「やりきる力」を鍛えることになります。
3.問題解決能力
問題のない会社はありません。必ず発生します。そんなときは根本原因を突き止め、それを解決する必要があります。
4.危機管理能力
日本の会社の弱点は、先回りして危機が起こらないようにすることを重視している点です。しかし、想定外のことは必ず起きます。
予想しなかった危機に対して、どれだけ冷静に、迅速に対処できるかどうか。それが本当の危機管理なのです。
5.交渉力・コミュ二ケーション能力
相手を説得するためには、コミュ二ケーション能力は欠かせません。信頼してもらうことが重要です。
6.先見性
後ろから追いかけるだけではいけません。半歩先を見ておくことが大切です。そのためには現場感覚を磨くことです。
7.判断力
思い切った決断をするのではなく、小さな判断をタイミング良くしていく必要があります。頭の中でシミュレーションするといいでしょう。
8.秘書活用能力
優秀な秘書に活躍してもらうことで、自分はより重要な仕事に取り組むことができます。
9.大局観
好奇心を持って行動し、すぐに動き出せるフットワークを持つことです。
まとめ
経営とは前例がないことに挑戦し続けることです。答えがない世界で、自分で考え行動することが最も価値が高いのです。
社長になりたくないという人は、要するに楽をして生きたいのだろう。だが、それは無理な相談というものだ。生きるというのは元来、厳しいものなのである。強いものは生き残り、弱いものが淘汰される。これは自然の摂理だ。だから、生き残りたければ牙を研ぎ、爪を磨き、生命力を高め続けなければならない。人間だけが例外というわけにはいかないのである。(P.234)
この世は弱肉強食です。自分に厳しくなり、日々自分を磨いていくことです。
社長を目指して働くことで、さまざまな能力が備わってきます。
すると「いい顔」になれるのではないでしょうか。
それが社畜で終わらず、現代社会を生き抜く方法なのではないのでしょうか。