僕は普通の人に比べて、いわゆる「仕事術」と呼ばれる仕事のやり方に興味を持っていて、どうやったらミスをなくすことができるか、どうすれば効率よくスピーディに仕事を進めることができるかを追求してきました。
できることなら短時間で仕事を終わらせたいし、ミスをしまくって恥ずかしい思いをしたくないわけです。そのため、自分のやることを管理する「タスク管理」というものに目覚め、今日1日やるべきことを書き出して、こなしていくことを習慣にしてきました。
こういった仕事術全般は「ライフハック」とも呼ばれ、一時期はブームにもなりました。
このテクニックを駆使しまくれば、仕事って早く終わるものだと信じていましたし、実際のところ、ある程度のところまで、ミスもほとんどなくなりました。
「あれ、この仕事忘れてた」とか締め切りを過ぎることもなくなりましたし、かなりスピードは上がったと思いますし、それに従い成果もだんだんと出るようになり、手応えを感じるようになってきました。
ですが、新しい仕事を任されるようになり、未知の分野に携わるようになると、途端に仕事が遅くなりました。遅くなったというかスピードが出せない。そんなモヤモヤを抱えながら仕事をしているわけですが、なぜ、こんなにもいろんな仕事術を覚えてきたのに、仕事ができなくなったんだろうと考えてみたところ、とても基本的なところを見逃していたことに気がつきました。
仕事そのものを理解していないと仕事は早く終わらない
ライフハックを駆使すれば、ある程度仕事をこなせるようになるのですが、それってすでにやっている仕事、慣れている仕事、ルーティン化されている仕事なんですね。「これをやって」と言われれば「はいはい」と勝手に手が動くレベルの仕事です。
こういう仕事だといくらでも効率化できるわけですね。チェックリストを作って手順化し、次に行うときにスピードを上げる。あるいは1日の始めにタスクリストを作って順番を考え、最も難しい仕事、または重要度が高い仕事からやっていくという方法をとることもできます。
これで成果が出てくると、ますますそういった仕事のやり方にこだわりが出てくる。でもそのこだわりって仕事の中身というよりもその体裁、仕事の外郭ともいうべき部分なんです。僕はここにフォーカスするようになってきました。
すると、タスクリストの並び順だとか、午前中は難しい仕事、午後は作業系のタスクとかそういうことにこだわってくるわけです。はたまた書類の並び順とかノートの取り方とか変なところに気が回るようになってくる。
既存の仕事が早く終わっているにもかかわらず、新しい仕事が舞い込むと、途端に手が止まる。何からやればいいか、どこを調べればいいかわからなくなる。
だからイチから丁寧にやっていくとめっちゃ時間がかかるわけです。自分が知らない知識を取り込むわけですから。書類をひとつずつ丁寧にめくっていく。そこに仕事術の面影はないわけです。
で、周りの人を見ていると明らかに仕事のやり方にこだわっている人なんて皆無なわけです。しかし、皆優秀なわけです。困難な課題に直面しても安易に投げ出すことなく、粘り強く取り組んでいる。議論しながら何がベストかを導き出す。自分の持っている知識を総動員してパワポの資料を作っている。そんななかで組織的に成果をあげています。
まずは今の仕事を理解すること。話はそれからだ
僕は仕事のやり方にこだわりすぎていて、肝心の仕事の中身に身を浸していなかったんですね。だから時間がめっちゃかかるわけです。
かといって仕事の体裁にこだわっていたから、なかなか知識が身につかない。浅はかな知識でなんとか取り繕っていたわけです。
だから今の僕が大切にしたいのは、あまり仕事術にこだわりすぎず、今自分がやっている仕事を理解することです。まずは仕事を理解しないことには仕事をこなすことはできませんし、仕事を早く終わらせることすらできません。新たな仕事に取り組むときにはまずは仕事を理解する。これに限ると思いました。