もういまさら訊けない!5分でわかるGTDまとめ

GTD

「GTD」という仕事のやり方を知っていますか?

Getting Things Done(げってぃんぐ しんぐす だん)の頭文字をとった、デビッド・アレンが提唱する「どんなときでも心にゆとりを持って、最大限の効率で仕事をこなしていくための手法」です。

人生における「すべての気になること」を頭の中から出し、5つのステップを踏むことによりシステマチックに管理していきます。

『はじめてのGTD ストレスフリーの整理術』という本にGTDについて書かれています。なかなか読みごたえのある本ですし、普通のビジネス書よりも分厚いです。著者のデビッド・アレンが20年以上の歳月を費やし、研究に研究を重ねてきたものなんです。

GTDは5つのステップを順番にこなしていくわけですが、実際にどうやったらいいのかわかりにくい部分もあります。ですから今日はカンタンにまとめておこうと思います。

GTD〜ストレスフリーの整理術〜

現代は仕事そのものの定義が変わりました。経営学の父ピーター・ドラッカーのいう知識労働者の時代です。

仕事の終わりが明確ではなくなり、人は目に見えない多くのことをやる必要に迫られ、ストレスがたまる状況に陥っています。やるべきことが頭の中でモヤモヤとしたままになってしまうからです。

それを解決するために、GTDにおいて最も重視していることが、「すべての気になっていること」を頭の中から外に出すことです。

頭をスッキリさせ、やるべきことを適切に管理することにより、リラックスして、ゆとりを持って目の前のやるべきことに没頭することができます。

空手でいう「水のように澄んだ心」を実現するわけです。

GTDの基本的な考え方

GTDの基本的なアプローチはボトムアップによるものです。

本来はトップダウンのアプローチを理想としながらも、目の前に雑多なことが多い現代においては、全体に目を向ける余裕がありません。だからこそボトムアップのアプローチの方が有効なことが多いのです。

GTDにおいては、従来の時間管理における優先順位というものを考慮しません。すべてを把握せずして決めた優先順位には何の意味もないと考えます。

その代わり「状況」に応じたリストを作ります。ステップを確実にこなした後においては、自信を持って次の行動を選択することができるようになります。

GTDでやることを簡潔に言うと次のとおりです。

  1. 頭の中の「気になること」をすべて頭の外に追い出す。
  2. すべての「気になること」について、求めるべき結果と次にとるべき行動を決める。
  3. そうして決めた、とるべき行動を信頼できるシステムで管理し、定期的に見直す。

この「収集し、目的を明確にし、定期的にレビューする」この3つがGTDの要点です。

GTDのワークフロー

GTDの基本的な考え方についてはわかったかと思います。それでは具体的にどうしたらいいのでしょうか?

次の5つのステップを順番にこなしていくだけです。

  1. 収集
  2. 処理
  3. 整理
  4. レビュー
  5. 実行
20160305 gtd word flow

これらを必ず、一度にひとつずつこなしていきます。

これらをこなしていくために、まずは時間を確保し(2日間が理想)、場所・ツールを用意して、GTDに集中できる環境を整えます。最初は時間がかかりますが、一度やってしまえば、あとは定期的なレビューにより管理していくだけですので、時間はかかりません。

ここまで2分!

1.収集

頭の中で「気になっていること」をデジタル・アナログにかかわらず、すべて集めます。

「収集」は最初のステップですから、とても重要な部分です。100%収集するつもりでやることです。

それらを集める受け皿となるものを「inbox(いんぼっくす)」と呼びます。
書類受けやパソコンのメモ帳など何でもよく、ツールに決まりはありませんが、収集の留意点があります。

収集の留意点

  1. すべての「気になること」を頭の中から出す。
  2. inboxの数は必要最小限にする。
  3. inboxは定期的に空にする。(「inbox」はあくまで一時的に置いておく仮の場所)

書類や郵便物など物理的なもので、何かしら行動を起こす必要があればすべてをinboxに集めます。

やることや思いついたアイデアなど、頭の中に残っているものであれば、1枚の紙に1件ずつ書き出してinboxに集めます。

この頭の中からすべてを追い出す習慣を身につけることが「収集」においては重要になります。

2.処理

inboxに集まった「気になること」を処理してinboxを空にしていきます。「処理」というのは、行動を完了させることではなく、次に何をしたらいいかを見極める作業です。

処理のルール

  1. 一番上のものから処理していく。(すべてを平等に処理する)
  2. 一度に1件ずつやる。(緊急性は考えない)
  3. inboxに戻さない。(inboxがたまってしまうと機能しなくなる)

ひとつずつ「これは何か?」と問いかけ、判断していきます。
さらに「行動を起こす必要があるか?」と問いかけます。

→行動を起こす必要がない。

  1. ゴミ…不必要なものは捨てる。
  2. 保留…いますぐ行動を起こす必要がないものについては保留にしておき、リマインダーを設定する。
  3. 資料…行動を起こす必要がない資料は保管する。

→行動を起こす必要がある。
その場合は次の問いかけをし、次の行動をハッキリさせます。

  • 「どのような結果を求めているか」
  • 「次にとるべき具体的な行動は何か」

必要なのは具体的な行動への変換作業です。パッと見ればわかるレベルにまで噛み砕いておく必要があります。

具体的な行動が決まったら、

  1. いますぐやる(2分ルール)…2分以内にできることであればその場でやってしまいます。(2分にこだわる必要はありません)
  2. 誰かに任せる…自分がやる必要がないことは、誰かに任せてしまいます。
  3. あとでやる…自分がやる2分以上かかるものについては、いったん「待機」スペースに置いておき、次の「整理」で所在をハッキリさせます。

これで「気になっていること」が、どこに振り分けられるか決まりました。

3.整理

処理された「気になること」を7種類のカテゴリーに振り分けていきます

  1. いつかやる/たぶんやる
  2. 資料
  3. プロジェクトリスト
  4. プロジェクトの参考資料
  5. カレンダー
  6. 次にとるべき行動リスト
  7. 連絡待ちのリスト

1.いつかやる/たぶんやる

いますぐやる必要がない「保留」にしたものについては、この「いつかやる/たぶんやる」リストに加えます。定期的にレビューすることで、人生をより充実したものにしてくれます。

2.資料

行動を起こす必要がない資料については、いつでも参照できるように保管しておきます。

3.プロジェクトリスト

「プロジェクト」とは、求めるべき結果であり、複数の行動が必要なものです。

プロジェクトそのものを実行することはできず、あくまでできるのはひとつの行動です。ひとつずつの行動をやっていくことで、プロジェクトを完結していきます。

次に行う「レビュー」で具体的なステップを決めていきます。

4.プロジェクトの参考資料

プロジェクトを実行するための参考となる情報や資料です。

5.カレンダー

「保留」にしたもので、やる日が決まっているものはカレンダーに追加します。
ここで重要なことは、カレンダーは「聖域」であり、その日に絶対やるべきことを書くことです。別の日にずれ込むことは書かないようにします。

6.次にとるべき行動リスト

最終的に残った「次にとるべき行動」については、「状況」で分けておきます
「@パソコン」「@場所」「@人」など、その時々の状況になったら行動します。こうすることで、特定の状況下で集中できますし、まとめて一気にこなすことができます。

7.連絡待ちのリスト

ほかの人に任せて連絡を待っているものは、「連絡待ち」のリストにしておいて、状況を把握しておきます。

4.レビュー

「レビュー」は定期的にシステムを見直すことです。この見直しを行うことで、それぞれのリストを常に最新の状態にしておきます。そして状況に応じた行動をとることができるようになります。

ここでGTDのキモともいえるのが「週次レビュー」です。これは週に1回、ワークフローに従ってもう一度作業をします。

この頭の中を空っぽにする再分類作業がGTDのシステムを適切に運用し続けていく上でとても重要になります。定期的に全体を見直して維持しなけば、やるべきことが把握できず、システムが破綻してしまうからです。

実際に行うのは次の作業です。

  • 雑多な紙類を集める
  • 処理を行う
  • カレンダーのチェック(過去)
  • カレンダーのチェック(未来)
  • 頭の中にあるものを出す
  • 「プロジェクトリスト」及び大きな目標のレビュー
  • 「次にとるべき行動」リストのレビュー
  • 「連絡待ち」リストのレビュー
  • プロジェクト候補のチェックリストのレビュー
  • 「いつかやる/たぶんやる」リストのレビュー
  • プロジェクトの参考情報
  • 創造的かつ大胆に考える

自分で週次レビューの基準を決め、それに従って行うことで苦労することなくこなせるようになります。こうすることで、システムを常に最新の情報に保つことができます。ここがGTDの要です!

5.実行

最後はいよいよ実行です。「状況」に応じたリストに従って実行していきます。

ワークフローに基づいて「収集」「処理」「整理」「レビュー」をやっていけば、目の前にはいまやるべきことのリストがあるはずです。それを直感を信じて行動をしていきます

頭の中をスッキリさせることで、「これだ!」と確信を持てるようになり、リラックスして目の前のことに集中することができます。

さあ、GTDを始めてみよう!

いかがでしたでしょうか。GTDのワークフローは複雑に見えるのですか、ひとつずつ「ちゃんと」手順を踏んでいけば、慣れていくものです。とにかく実践することですね。デビッド・アレンも「ある程度の訓練が必要」と言っています。

まとまった時間があれば、週末などにガッツリやってみてもいいでしょう。

まとまった時間がとれないのであれば、2〜3個くらいの「気になっていること」をGTDのワークフローに従ってやってみるという方法もあります。こっちの方がGTDに取り組むハードルが下がるので習慣化しやすいと思います。

ぼくの場合は一気にやらずに、1日の終わりにEvernoteの「Inbox」にたまったものを「これはどこかなあ」とワークフローに従ってやっています。

「GTD」というやり方があることを知っておくだけでだいぶ違います。特に「頭の中からすべて出す」という作業は、頭がスッキリするのて、効果はバツグンです!

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