時間管理は奥が深いものです。
1日24時間と限られていますし、お金のように貯めることはできません。人から借りることもできませんし、利子のように増えることもありません。
まるで砂時計のようにサラサラと減り続けるだけです。
ですから、やることの多い現代社会では、上手に使わないと常に忙しさに追われてしまいますし、満足のいく生活もままなりません。
でも、ちょっとしたコツで生産性を上げることができます。
そんな簡単な方法を紹介してくれているのが『TIME HAKCS!』という本です。
時間管理について、さまざまなテクニックがちりばめられている良書です。
89個の方法が書かれていましたので、ぼくの印象に残った部分を紹介します。
時間効率をアップさせるためのテクニック集『TIME HACKS!』小山龍介著
目次
CHAPTER1 ToDoハック 一瞬と一生
CHAPTER2 スケジュールハック リズムとメロディ
CHAPTER3 時間効率ハック ジャズとトランス
CHAPTER4 時間投資ハック 効率と効果
CHAPTER5 チームハック 足し算とかけ算
CHAPTER6 計画ハック 微分と積分
習慣化することで生活にリズムが生まれる
「習慣は第2の天性」といわれているくらい物事を習慣化することは大切です。
時間管理も結局のところ、どのような習慣が根付いているに起因します。
ダラダラと動くことが習慣になっていれば、常に時間をムダに使ってしまいますし、ムダのない行動が習慣化されていれば、最低限の時間で済みます。
しかし、継続することは難しく、多くの場合は途中で挫折してしまいます。
それは、習慣化しようとするときに一生継続しようと思ってしまうからです。
今日からダイエットを始めるのに、「1か月のうちの1日だから」、「1年のうちの1日だから」と思ってしまい「今日はまぁいいか」とやらないことは往々にしてありえます。
ですから、大切なのは「今日だけのことなんだ!」と思い込むこと。今日やるべきことを今日やる。
その積み重ねが”結果として”習慣になるわけです。
そのためにToDoリストで生活のリズムをつくり出す必要があります。
どのような習慣を身につけるというのは時間を管理する上でとても重要なんですね。
振り返ることで自分にフィードバックをする
時間の使い方を見直すには、積み上げた結果を振り返る(レビュー)必要があります。
本書では1か月単位を推奨しています。
そのとき欠かせないことが数字で把握することです。実際に要した時間数だけでなく、勉強したときのテキストのページ数や読んだ本の数など、数字を記録すれば積み上がっている実感を持つことができます。
数字で目に見えるようにすると、次はもっとやろうという意識が働きますし、改善すべき点があれば次に取り戻せます。
そうやって自分に対するフィードバックを行うことで達成感につながりますし、継続していくことができます。
スケジュールに色をつける
本書ではスケジュール管理にGoogle Calendarを使うことを勧めています。そのときに重要なのがスケジュールを色分けすることです。
時間は目に見えないですし、色もつけられません。でも、本当は時間の「存在」を感じていますし、時間の「感触」もありますし、時間の「色」だって感じています。それをスケジュール帳を使って目に見えるようにする。すごくシンプルなことですが、これだけでも時間の使い方が全然変わってきます。時間を意識できるようになるのです。(P.59)
色というのは感情に訴えてきますから、暖色系の色にすれば気分が高まりますし、逆に寒色系にすれば冷静になれます。
また、1日24時間といいながらも、睡眠時間や日常生活に必要な時間などがあり、実質的に自分の自由に使える時間は限られています。
たとえば、睡眠時間をグレーに色分けすることで、1日のうち使える時間がこんなにも少ないということが視覚的にわかります。
これにはぼくは膝を打ちました。単純にタスクリストだけを使っていると、無機質な文字の羅列になってしまい、時間の感覚が視覚的にわかりにくいのは事実です。
しかし、色をつければパッと見た瞬間に今日一日の予定がわかる。まるでテレビの番組表のような感じです。
そういった時間の感覚を身につけるためにも予定を色分けするって重要ですね。
ぼくの場合、まだまだ改善の余地がありそうです。
時間の投資とは経験を重ねること
前回紹介した本、本田直之さんの『レバレッジ時間術』では、時間を投資するとは仕組みをつくることだと提唱していました。
参考:時間を投資して仕組みをつくれ!『レバレッジ時間術』本田直之著
本書でも時間を投資することについて書かれています。本書における時間を投資するとは経験を積むことを意味しています。若いうちに時間をかけて、さまざまなことを経験することがのちのリターンとなります。
それは自分自身が価値のある人になることで長期的なリターンとなり、収入の増加につなげるというものです。
やらないことがリスクなわけですから、どんどん時間やお金をかけて経験したことがないことに取り組んでみる。本書では年収の半分くらい使ってみることをすすめています。
同じことを繰り返していると成長できませんし、自分の殻を破るつもりでいろいろなことに挑戦してみる。その発想が大事ですね。
計画は3か月ごとに立てる
計画については、1年間の計画を3か月ごとに分けて考えていきます。四季に合わせた計画を立てることで1年に対してもリズムを生み出しましょうということです。
春に新しいことを始め、夏に集中する。秋に成果を収穫して、冬に振り返る。
そんな1年間のサイクルができれば、季節に合わせて気持ちを盛り上げることができます。
学校や会社は4月が年度始まりで新しい出会いがありますし、こういったことにリズムを合わせるというのもいいんでしょうね。
さらに、計画を立てるときのポイントは必ずゴールを明確にすることです。そこから逆算して計画を立てることで、より具体的なスケジュールを決めることができます。
このゴールを決めることが大事です。
これが決まっていないと、まるでゴールのないマラソンをするようなものですから辛いだけです。
しかし、ゴールが決まっていれば、ここまで頑張ればいいと思えるので、その到達点まで諦めることなく続けることができます。
一生は一瞬の積み重ね
2006年に発行された本なのでスマホもない時代ですから、古く感じるテクニックがあるかもしれません。
しかし、時間管理の原理原則というものは変わりません。
さまざまなテクニックやツールを駆使しても、1日24時間は変わりませんし、正直時間の効率化にも限界はあります。しかし、限界まで効率化した先に見える景色というものはあります。
それが豊かな生活だったり、自分の本当にやりたいことに夢中になれる瞬間だったりします。
そのためにも一瞬一瞬に集中できなければ、何も成し遂げることはできません。
「いまを大切に生きる」
結局のところこれに尽きるんだなと。
細かいテクニックを使って時間の効率化を図りつつ、根本的な時間に対する考え方を改めていく。
そんなことを気づかせてくれる本でしたね。