年の始めに目標を立てるのはよくあることです。
今年こそは仕事で結果を出す、英語を習得する、ダイエットを成功させる、お金を貯めるなどあるかもしれません。
しかし多くの場合、途中で挫折したり、目標を忘れしまい、達成できないことの方が多いのではないでしょうか。
目標を達成するためにはどうしたらいいか。これはとても重要な問いです。
そこで参考になる本はないかと思い、読んだのが『ザ・コーチ – 最高の自分に出会える『目標の達人ノート』』という本でした。
主人公の星野さんが、大蔵さんという老紳士から「目標の達人」になるための秘訣を学ぶというストーリーです。
とても丁寧に目標を設定していくところが参考になったので紹介します。
1年の始めに読みたい!『ザ・コーチ』に学ぶ正しい目標設定の方法
目標の達人になるためにはまず、目標に対する本当の知識と活用方法を知る必要があります。
多くの場合そこがあいまいなので、適切な目標が立てられず目標を活かしきれていません。
だから最初に知るべきことは、目標を決めることではなく「目標とは何か」ということです。
目標、目的、夢、ゴール、ビジョンはこんなにも違う
「目標」「目的」「夢」「ゴール」「ビジョン」。
これらはよく耳にする言葉ですね。でもこれらの言葉の意味を知っているでしょうか。
いつも普通に使っている言葉なのに、あらためて問われると答えにくいものです。
本書では次のように言っていて、明らかに定義が違っています。
目標…目的を達成するために設けた目当て
目的…成し遂げようと目指す事柄
夢…将来実現させたいと、心の中に思い描いている思い
ゴール…競技などで、着順の決まる一番最後の地点・決勝点
ビジョン…将来あるべき姿を思い描いたもの、将来の構想、未来像・その光景
つまり、心の底からかなえたいと願うこと、純粋に実現したいと思うシンプルなことが「夢」であり、「なぜそれが夢なのか」「何のためにやるのか」と考えることが「目的」になります。
その目的のための最終地点が「ゴール」であって、途中に設けた目印、通過点が「目標」になります。
そして、目的やゴールを手にした状態、光景により味わう感情、これが「ビジョン」です。
こういった言葉の違いがあるんですね。この言葉の解釈、意味の捉え方が正しくないと、いくら目標だけを設定しても活かしきれないわけです。途中で挫折してしまう。
目標だけを設定するよりも、その先にある目的、「何のためにやるのか」の方が重要だということがわかります。そしてビジョンを描けているかどうか。ここが最も重要です。
なぜなら、ビジョンをありありと想像することで、それが目標に向けて行動するためのエネルギーになるからです。
「これを実現したい!だからいま頑張れる」と思うことが行動を継続するためのモチベーションになるということですね。
では、夢、目的、ゴール、目標、ビジョンを明確に設定して行動していくことで、自分が得られるベネフィット(恩恵)には、どのようなものがあるでしょうか。
ベネフィット(恩恵)とは感情である
夢、目的、ゴール、目標、ビジョンを明確に設定して行動していくことで、自分が得られるベネフィットはたくさんあります。
- その道のりで、多くの共感者や協力者と出会い、さらに大きなことを成せる
- 精神的に強くなり、さらなる大きな決断の時に必要な勇気を手にする
- 人間的に成長する
- 人と人との絆が生まれ、人生の宝を得る
- 人生が、ワクワク感やドキドキ感にあふれた、感情豊かで感動的なものになる
- 知識が増える
- 選択力が増す
- 決断力が増す
- 集中力が増して、パフォーマンスが高まる
- その道のりで、知識・能力・道具が増えて価値ある人になる
- 失敗の体験から次の成功のための糧を手にする
- どん底にいる時、詩人になり、魅力的な人物になる
- 可能性の扉が開き、想像もしなかった未来の自分に会える
- 精神的な視点が高くなり、人生で見る景色が変わる
- 人生を存分に堪能できる
こういったベネフィット(恩恵)があるんですね。
夢をかなえ、ゴールに到達することも大切なんですが、それ以上に、その道のりで得られるベネフィットの方が大切だということがわかります。
もちろん結果を出せることに越したことはないのですが、このプロセスともいうべきことの方が人生においては重要だということですね。
さらに大切なのが「どういう感情を味わいたいか」ということです。ゴールや目標を設定するのはこれに尽きます。
夢に向かうときのワクワク感やドキドキ感、充実感や安心感、達成感や優越感、こういった自分の行動のモチベーションの源になる感情をセットにして考えることがポイントです。
私たちは物質的なこと、たとえば、車や家などを手にすることをゴールとして設定します。が、実はそのゴールを手にして得られる感情を求めているんです。だから、人生の道のりにいくつものゴールを設定して、それに向かうということは、たくさんの悔しさや楽しさ、寂しさや嬉しさ、ワクワク感やドキドキ感にあふれた人生を送るということです。この逆は、何も感じない無感動で終わる人生です。(P.85)
何を感じるかということですね。
心のブレーキを軽くする
とはいいつつも、夢やゴールを語ることは、はばかられるものです。夢やゴールや目標を描くときにブレーキがかかってしまいます。「最近の若者には夢がない」なんてよく言われることですが、それはなぜなのでしょうか。
それは、子どもの頃に周りの大人から「お前には無理だ」と言われ続けたことが信念となってしまい、自己否定につながることや、夢や目標に対する無知、ゴールに向かうことで生まれる変化、決断することに対する恐れなどがあります。
こういったことから大人になるにつれ、夢やゴール、目標を決めるときのブレーキになってしまいます。
では、このブレーキを外すためにはどうしたらいいか。
夢やゴールが大きすぎると途端にハードルが高くなってしまいます。だから大切なのが「小さく始める」こと。
より大きなゴールを設定するための練習だと思って、まずは小さいことからやってみる。こんなにも簡単と思えることでいいので小さい成功体験を得るということですね。
それから、ビリーフ(信念)を書き換えるという方法があります。心のブレーキになっていることは、自分の勝手な思い込みだということが往々にしてあるものです。
たとえば「目標は絶対に変えてはいけない」というもの。こういった思い込みを持っている人は多いです。だから新年の目標を立てても、少しでもうまくいかないことがあると挫折してしまうわけです。
だから「目標にはいくつもの選択肢がある」「目標は柔軟に変えていい」とビリーフを変えることによって、心が軽くなるわけです。ゴールにはこだわる必要がありますが、その前の時点である目標はもっと気楽なものでいい。
そう考えると心のブレーキが軽くなります。
目標を設定するために丁寧に教えてくれる指南書
一律に目標を設定しがちなものですが、実はそれ以外にも決めることは多くあって、それが目的だったりゴールだったり、そのために得られるベネフィットだったりするわけです。
ここらへんを深く考えずに目標だけを決めると挫折することが多くなりますし、せっかくの目標がうまく機能しません。
でも本書では、まず言葉の定義を明確にすることで正しく目標を設定する方法を勧めています。目標を決めて、そのために何をするべきかということではなく、まず「目標とは何か」から入るわけですね。
こうやって「なぜなのか、何のためにやるのか」と突き詰めていくと、自分が得たい感情があるということを知ることができます。
これが大事ですね。ゴールに到達することで得られる感情がモチベーションになるので行動が続く。目標はあくまで通過点。
目標の設定に関して丁寧なアプローチをしているので、とても参考になる本ですよ。
もう一度今年の目標を見直してみるのもいいですね。