最近読み終わった『魂の燃焼へ』という本が自分の中でど真ん中だったので紹介したいと思います。今年読んだ本の中でも最も素晴らしい本でした。
実業家、著述家であり、戸嶋靖昌記念館の館長を務める執行草舟さんと、書店「読書のすすめ」代表の清水克衛さんの対談本です。
生命とは何か、生きるとはどういうことか。そして、その軸を築くための読書の大切さを説いています。
今の世の中に対して何か疑問を感じていたぼくにとっては、とてもスカッとする内容でした。
それと同時に、自分の生き方を見直さざるを得ないなと感じました。
直の精神で生きよ『魂の燃焼へ』執行草舟/清水克衛共著
「答え」ではなく「問い」を見つけるための読書
小学生の頃から「葉隠」という武士道の本を読み、現在に至るまで膨大な本を読んできた執行さんの言葉には重み以上の何か熱いものを感じました。
答えなんかじゃなくて、「問い」を見つけることが大切なんだ。自己に対する問題提起、疑問、それから人生でどんなことに体当たりすればいいのか、何を考えればいいのか。その材料を過去の偉大な人たちからもらうのが読書だってことに尽きるんですよ。で、その疑問を感じたまま人生を生き続ける。そうすると、疑問を持ち、何かの壁にぶつかり続ける人生になるじゃないですか。それしか自分をつくり上げていく道はないんですね。(P.35)
つまり「人生は問い」だといいます。
本は「答え」ではなく「問い」を見つけるために読むものであり、そして答えは自分の実践の中からしか見つけることはできません。
がむしゃらに生きてぶつかりまくるしかない。そうやって人格が陶冶されていくことで、人生がつくり上げられていきます。
ですからハウツー本を真っ向から否定しています。答えを探して読んでいるうちには突き抜けられない。
歴史や哲学など古く偉大な先人たちが残した足跡を辿っていくことにより学ばなければなりません。
「一行でも感動したら、その本は読んだ価値がある」
「本はわかろうとしないこと」
この2つの言葉は読書に対して勇気をもらえます。難しい本を読んでも、それでいいんだと。
本を読み続けることで自分がつくり上げられていくわけです。
「直」の精神で生きる。「横野郎」なんかになるな
大切なのは、僕が「垂直」と言っているものですね。自分の祖先や、自分の祖国、自分が生まれたいわれ、なぜ自分がここにいるのか、まずそれを知らなきゃ始まらない。いまの社会はテレビ社会で、水平っていうか、横並びなんだ。横の情報ばっかりだ。でも、自分の力の源になるのは「縦」なんだ。縦の意識が大切なわけ。横の力に負けないためには、縦の力を鍛えなくちゃいけない。(P.144-145)
突き抜けたいなら自分の縦をつくらなければならない。横がどんなに広がっても、何も突き抜けられない。横っていうのは、たとえば情報だよ。インターネットで世界中の情報を集めたところで、なんにもならないってことです。だから、本を読めって言っているんだ。友達も横だ。だから、友達に好かれよう好かれようとしていると自己を失う。
僕は横ばかり気にして生きている水平人間のことを、「横野郎」と言っているんです。つまり、横並びで、勇気のない腑抜けということ。横が、自己固有の生命の敵なんだ。(P.146-147)
ここにぼくの疑問を解消するものがありました。この記事を書いている現在では、「ポケモンGO」が流行っています。またSNSなどでは、つながりがどんどん増えています。Facebookなどで写真を見せ合っているわけです。
この状況に何か違和感を感じていました。その違和感が「横野郎」だったんですね。常に皆が同じことをやっていないといけない。流行に乗ってあっちこっちに行く。
横野郎で常に周りと合わせようとしたり、嫌われないようにしようとしていると、何もできないまま人生が終わってしまう。そんな腑抜けにはなるなと。
大切なのは横ではなく縦。違和感がようやく解消しました。
つまり、自分は何者なのか。どこからやってきて、どこへ向かうのか。これは、自分自身を掘り下げていくことでしか見つかりません。そのために読書をしなければならないということです。
そして垂直の精神で生きることが大切だということす。それは自分の中に絶対にブレない軸を持つということ。
生命を燃焼させる
自分の生命が、完全に燃え尽きるような生き方をすることだけです。その生き方の善悪や、内容は問わない。それが僕の人生哲学ですよ。僕は自分が正しいとも思ってないし、よいことをしているとも思ってない。ただ、与えられた生命を、燃焼させているだけなんだ。(P.170)
「たった一度の人生を悔いなく燃焼させるには、ぶつかるしかない」と言います。
生命を燃焼させるには、理想を持って壮大な「憧れ」に挑戦するしかありません。そのためにも、そのような挑戦をして生命を燃焼させた先人を知るために読書が必要です。
志を持って、命を懸けて生きる。昔の偉大な人はみんなそうでした。自分の理想に向かってひたすら進む。途中で非業の死を遂げた人もいます。
執行さんは自分の命は関係ないと言います。人間は精神の生き物であり、生命よりも大切なもののために生きることができる。むしろそれを見つけなければならないと。
それが「直」の精神であり、生命を燃焼させる唯一の方法です。
自分に直の精神を築け
一度きりの人生を後悔しないためには、1日を燃焼して生きる。そのためには自分の中に直の精神を築かなければなりません。
それを見つけるのが読書です。読書をすることで問いが生まれる。現実にぶつかりまくることでようやく答えが出る。その繰り返しだけです。
そうすることが生命を燃焼につながると。
普通に生きていたら、横からの情報しか入ってきません。するとただ流されるだけの、動物のような人間になってしまいます。
本書では理想を持てない人間は、人生すら始まっていないと言います。しかし、読書することで偉大な先人たちから学ぶことができます。
すると自分の中に様々な問いが生まれてくる。
その問いを抱いたまま、がむしゃらに生きる。もうぶつかるしかない。そうやって自分なりの答えが生まれてくる。
すると自分が何者かわかる。
命よりも大切な何かのために生きる。それこそが精神を持つ人間に与えられた最も価値のある生き方です。
執行さんのような方が現代に生きているのは、恐れ多いなと思いました。男らしくない人に対しては、「殴りたくなる」「気概がない」「恥を知れ」と喝を入れる場面もあります。
これは自分を見つめ直すいい機会になったと思います。
自分の魂と志と信念に恥じない生き方をすることだけなんだと気づきました。